日商簿記初級の受験体験記(独学、テキスト、講義、勉強、試験当日の話など)
簿記初級受験の体験をもとに、記事を書いてみました。
目次は、こちら↓
1.日商簿記初級とは?
初級は、日商簿記検定のうち、最も簡単な級である。
ごく基礎的な問題が出題される。
コンピューターを使用する試験である。(よって、PCに慣れていない方は不利になると思われる。)
初級は、4級の廃止に伴い、2017年(平成29年)に新設された。
試験時間は、40分。
100点満点中、7割とれれば、合格である。
受験料は、2200円。
初級と1級は、混同しやすいかもしれないが、別物なので注意。
なお、簿記検定の級を難しい順に並べると、1級、2級、3級、初級となる。
1級>2級>3級>初級
←難しい かんたん→
2.簿記初級の勉強方法
簿記初級は、基本的に、独学でも合格可能である。
勉強方法としては、市販のテキストを使う、講義動画を視聴する、生講義を受講する、などが考えられる。
簿記初級のテキスト
市販のテキストに関しては、簿記初級向けの本が売られている。
日商簿記のHPで紹介されているテキストは、以下の2つである。
どちらも、1000円台前半と比較的リーズナブル。
●「土日で合格(うか)る日商簿記初級(第2版)」 資格の大原 中央経済社
●「スッキリわかる日商簿記初級 第2版」 TAC出版 滝澤ななみ・TAC出版開発グループ共著
私が使用したのは、TACのテキスト。
なので、ここでは「スッキリわかる日商簿記初級(TAC)」の感想を書こうと思う。
TACのテキストを選んだ大きな理由は、特にない。
パラッと見たところ、どちらも分かりやすそうだし、問題もついているし、あとは、価格とデザインでエイヤッと選んだ。
使った感想としては、全体的にいって、分かりやすかった。
ただ、第1章と、問題編の試算表のところで、私はつまづいてしまった。
★「スッキリわかる日商簿記初級」第1章について
(※というより、「初めての簿記」の感想?)
第1章でつまづくのは、仕方がないのかもしれない。(他の方は、つまづいたりしないのかもしれないが…涙)
貸借対照表、損益計算書、借方貸方、仕分け…。このあたりのことに、初めは「なんだこりゃ」となってしまった。正直、面食らってしまった。
(以下、余談だが…。つまづいた理由は、私にとって、簿記が新しいものだったからだと思う。たぶん、テキストのせいではない。
私は今回、初めて簿記を学習したのだが、簿記って、なんだか今まで全く経験したことのないことをやる感じがした。
これまで勉強してきたものーー例えば、国語や社会や数学やパソコンなどーーとは、まったく違うものだと感じた。
頭の使い方も、なんか、いつもの勉強のときとは違う気がした。
最初は、かなり面食らってしまった。
簿記なんてものを考え出した人はすごいなあ、なんて思う。)
★問題編・試算表について(※TACの簿記初級テキスト)
あと、問題編の試算表のところは、予想以上に時間がかかってしまった。
試算表は、テキストの最後の方で出てくる。「もう少しで終わり~♪」と思っていたところに、突然わけわからん問題が出てきて、辛くなってしまった。
ただ、詳しい解説があれば、あんなに苦労せずにすんだと思われる。
問題編の試算表については、もっと詳しい解説がほしかった。涙。
(こんな風に苦労するのは私だけかもしれないが…)
★付属の模擬試験プログラム(※TACの簿記初級テキスト)
テキストに、PCで使える模擬試験プログラムが付いているのだが、これがイマイチであった。
もしかして、私のやり方が悪かったせいなのかもしれないが、回答を自動で採点してくれないのだ。
(※実は自動採点可能だったらごめんなさい…)
また、模擬試験プログラムでは、テキストの問題編に載っている問題がランダムに出題されるとのこと。
テキストにない問題が出るわけではないので、そのあたりも注意。
ただ、PCを使って試験の体験が出来たのは、とても良かったとは思う。
PCにある問題を解くときと、紙にある問題を解くときでは、なんとなく感覚が違う。
例えば、テキストで勉強をしていた時は、テキストに書き込みをしながら問題を解いていたのだが、簿記初級はネット試験なので、書き込みをするということが出来ない。これが個人的にはキツかった。
それと、最初に個人情報(?)みたいなものを入力するということが分かったのも良かった。
簿記初級の講義
残念ながら、簿記初級の講座というものを私はあまり見たことがない。生講義、動画配信ともに。
需要がないのかもしれない。初級の受験者数がそもそも少ないしね…。
しかし、講座がゼロというわけではない。
例えば、TACではweb講義を開催している。
さらに、地域によっては、商工会議所で講座を開いている可能性もある。
もし、簿記3級や簿記2級を目指しているのであれば、簿記3級や簿記2級の講義を視聴して簿記初級講座の代用とすることも可能であろう。
また、お金をかけたくない場合は、YouTubeで簿記の講義を配信している方がいるので、それを見るという手もある。
下記は、私が受験勉強をしているときに利用したYouTubeチャンネル。参考までに、どうぞ。
YouTubeの簿記講義動画
★「【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき」チャンネル様
こちらのチャンネルには、初級専用の動画はない。しかし、簿記3級の動画が初級の勉強にも使えた。
ただし、簿記3級の動画には、簿記初級に出題されない内容も含まれるので注意。
簿記3級独学応援っ!【入門!初心者の人が一番最初に見る動画:仕訳がメッチャわかる!】全24回(基礎18回+じっくり復習6回)
★「最速簿記」チャンネル様↓
★「よせだあつこ」チャンネル様↓
★
こちらは、チャンネルの紹介ではなく、動画の紹介です。
この動画の簿記の話が、個人的に役に立ったので、ご紹介。
アプリを簿記勉強の補助に
簿記勉強用アプリもリリースされている。
簿記初級のアプリは見かけないが、簿記3級のアプリがあるので、活用しても良いと思う。
通勤中など、スキマ時間を利用するときに便利。
3.簿記初級の申し込み方法
簿記検定のHPによると、申し込みの方法などは、試験会場によって異なるみたいです。
で、申し込み方法は、試験会場のHPに書いてあるのかと思いきや、私の会場はそうではなかったです。
私は試験会場に直接聞いて申し込みました。とても親切に教えていただけました。
申し込み方法って、WEBに書いておいてくれたら便利だと思うのですが、無理なのでしょうか?(ToT)
MOSの随時試験もこんな感じでした…はあ。
公式サイトによる「申し込みの流れ」↓
受験の申し込みの流れ(ネット試験) | 商工会議所の検定試験
4.日商簿記初級の試験当日 体験記
初級でも、難しかった
初級なんて簡単と言ったのは、いったい誰なのでしょう!(笑)
ふつうに、難しかったです!(笑)
そりゃあ、簿記2級とかに比べれば、ものすごく簡単なのでしょうが…。
初級は簡単だからと、なめてかかって、あまり勉強せずに受験すると、落ちるのではないかと思います。
初級の2019年度の合格率は、59.4%です(※簿記検定のHPより)。
合格に必要な勉強時間は、数十時間だそうです。ある程度は、ちゃんと勉強していった方が、確実に受かると思います。
ところで、試験の時、見たことのない言葉や知らない内容が出て、ちょっとキツかったです。
でも、そういう難しい問題は解けなくても、とりあえず合格は出来るのかもしれません。そういった問題は、捨て問だと思って、他の自分が分かる問題を解くのが良いのかもしれません。で、最後まで問題を見たら(解いたら)、戻ってきて難しい問題を考えてみる、というので良いのかも。
初見では、「なんじゃこりゃ」な問題も、よくよく考えていくと、答えが分かってきたり、選択肢をしぼれたりしました。時間が余っている場合は、一見難しい問題を解いてみるのも良いかと。
ちなみに、私は試験終了時間ギリギリまで回答にかかりました。
初級は、早く終わって席を離れる人も多いと聞いていたのですが、私の時は、ほぼ全員(といっても8人くらいだったかなあ)、ずっと40分くらい席についていました。
試験会場の音
私が行った試験会場は、すごく静かというわけではなかったです。
試験会場と言えば、すごく静かなのが普通だと思っていた私には、軽くカルチャーショックでした。
会場が資格教室みたいなところだったので、周りで生徒さんが普通に勉強をしていました。それと、スタッフさんと生徒さんがお話したりもしていました(事務連絡)。
まあ、簿記の試験なんて、みんな電卓を使うから、静かでないのが普通なんだろうけれど…。
受験する試験会場が静かとは限らないので、そのあたりも注意です。
試験開始時間
私は、試験開始時間は、例えば6時なら6時から、みんな一斉に始めるのだと思っていたのですが、私の時はちょっと違いました。
それぞれのPCで、あるところをクリックすると、カウントが始まる感じです。
私の時は、試験開始時間が過ぎても、スタッフの方が試験の説明をしていたので、「え、開始時間過ぎちゃってるけどいいんすか?」と内心ヤキモキしていました。
でも、ちゃんと40分使えるシステムになっていました。
よかったです…。
試験では、電卓も使用する
初級だと、電卓って、持っていくのを忘れる方もいるんじゃないかと思います。
私は、テキストを勉強しているときは、計算を自分ですることが多かったので、電卓の存在をほぼ忘れていました…。
でも、試験のときは、電卓は持っていった方が良いと思います。
第3問(試算表とかが出る)のときに、面倒な計算が必要になる場合が多いからです。普段の勉強の時は、紙に計算すれば何とかなるんですが、初級はネット試験なので、紙に計算というわけにはいかないです。それに、電卓を使った方が速いですしね。
スタッフさんに合否が知れてしまう…
試験の後、すぐに、合否と点数が自分の画面に表示されました。
で、私がそれを見れるのは良いのですが、これって、スタッフさんにも見れるのですよね…。
MOSでもそうだったんですが…。
私は、それがすごく苦手で…。
合格の時は良いけれど、不合格の時は見られたくないなあなんて、思ってしまうのです。
なんとかならないですかね…(TT)
5.余談(初級受験者数、簿記3級、履歴書などに関して)
2019年度の初級受験者数は、4284名である。
これは、簿記検定の他の級と比べて、かなり少ない数値となっている。
(※受験者数は、下記の簿記検定HPより引用。)
受験者が少ない理由のひとつは、簿記初級が履歴書に書きにくいからかも知れない。
web上でさらっと調べてみたところ、履歴書にある程度堂々と書けるのは、日商簿記は2級かららしい。日商簿記3級を履歴書に書くことについては、賛否両論が見受けられた。
私は、簿記3級を履歴書に書くことについて、どちらかと言えば肯定的である。
簿記3級は、履歴書に書いても意味がない、という書き込みがweb上には散見される。実際、意味がないこともよくあるのであろう。
しかし、そのような時でも、多くの場合、特別マイナスにもならないだろうと思う。
ただ、受ける会社や職種、また個々の状況によっても、どうするのが良いかは異なるだろう。
(※もし、簿記3級と書くことで、マイナスになると予想される場合は、もちろん書かない方が良い。)
求人票を見ていると、「簿記3級があると良い」といったことが記載されていることがある。
なので、簿記3級が、就職活動において、まったく役に立たないということもないはず、と思っている。
6.最後に(まとめ)
簿記初級は、日商簿記検定のなかで、最も簡単な試験です。
でも、ある程度はちゃんと勉強していかないと、落ちてしまうので、油断は禁物。
独学でも、十分に合格可能です。
数十時間勉強すれば合格できるようです。
勉強費用も、うまくすれば数千円で足りてしまいます。
でも、悲しいことに、履歴書にはあまり使えないようです。
なので、初級を飛ばして3級から受験でも良いと思います。
人によっては、2級から受ける場合もあるようです。
状況や興味に応じて、受験を判断されると良いかと思います。
それでは、この記事が何らかの参考になりますことを願いつつ、おしまいと致します。